「……そうだったのね。あの子もまた、あなたにいい影響を与えることができていたんだって思うと、何だかうれしいわ。これからも蒼空のこと、よろしくね」
「っ、はい!」
わたしの話を聞いてくれた蒼空くんのお母さんは、うれしそうに微笑んでいる。
横を見れば、不意に高崎先輩と目が合った。
わたしと蒼空くんのお母さんの会話を見守ってくれていた高崎先輩は、
(よかったね)
と口パクで言って、優しく笑いかけてくれた。
(……わたしって、本当に周りの人に恵まれてるなぁ)
もらった以上の優しさを返していける人でありたいなぁって、改めてそんなことを思いながら、その後もなごやかな空気の中で談笑していれば――突然、高崎先輩が「あ」と声を漏らした。
「高崎先輩、どうかしましたか?」
「いや……ものすごい顔でこっちを見てる男の子がいることに、気づいちゃってさ」
高崎先輩は困った様子で眉を下げながらも、どこか面白そうに笑いながら窓の外を見ている。
その視線の先をたどってみるけど、そこにはだれの姿も見られない。
「高崎先輩のお知り合いでもいたんですか?」
視線を店内へと戻せば、わたしたちが座るテーブル席の真横に、だれかが立っていることに気づいた。



