「……うん! こっちゃん大好き!」
「わたしも青羽大好き~!」
こっちゃんに抱きつけば、同じように抱きしめ返してくれる。
そして、顔を見合わせてクスクス笑い合う。
もう一度窓の外を見れば、浅羽くんの姿は見えなくなっていた。
――優しいきみが、傷つくことのないように。
わたしは、きみに幸せになってほしいんだ。
「……よし! わたし、浅羽くんのところに行ってくるね!」
「え、あと十分で授業始まるけど?」
「だって、今朝は浅羽くんに会えなかったから。おはようって言いに行きたいの!」
「はいはい、いってらっしゃい。授業には遅れないようにね」
「はーい。いってきます!」
こっちゃんに手を振って教室を出れば、ちょうど廊下の向こう側から歩いてくる浅羽くんの姿が見えた。
気だるそうな顔をしていたけど、わたしに気づくと、切れ長の目をほんの少しだけ見開いた。驚いているみたい。



