『そこの少女よ』
「っ、え? 今、声が……?」
『浅羽くん、とやらを、助けたいのだろう?』
神様の声が人にも聞こえるようにすれば、少女は驚いた様子で視線をきょろきょろさせている。
しかし、神様が“浅羽くん”の名を出せば、少女は目の色を変えた。
唇をグッと噛みしめて、懇願するような目をして、視線をさまよわせる。
「神様、なんですか? それなら……お願いします。どうか、どうか浅羽くんを助けてください……!」
少女の持っていた傘が、手から滑り落ちた。
雨脚は強まっているが、少女は神様の存在をさがすように軒下から出て、ずぶ濡れになるのも気にしていない様子でただ一つの願いを口にする。
『いいだろう。その願い、聞き届けてやる』
「っ、本当ですか?」
「あぁ。お主を過去へと連れて行ってやろう。そこでお主自身の手で、愛する者を救えばいい。未来を変えるんだ。ただ一つ、条件を飲んでもらうことにはなるが……』
「……お願いします、わたし、何でもします! 過去に戻って、わたしが、浅羽くんを救ってみせます……!」
少女が力強い目をしてうなずいたのを確認した神様は、過去へと戻るための条件を提示する。



