(あぁ、つまらん。今日は雨も降っているから参拝客も全く来んしなぁ。はぁ、何か面白いことはないものか……ん? またあの女子か。ここ最近毎日のようにきているな)
とある神社で縁結びの神として祀られていた神様は、ふちの部分が水色のビニール傘をさして歩いてくる少女の姿に気づいた。
その少女は、ここ最近、毎日のように神社にやってきては、長い時間祈り続けている。
その願いは決まって同じだった。
拝殿の奥の方にいた神様は、ふわりと移動して少女の目の前までやってきた。
そして、あちらから姿は見えていないだろうが、目を閉じて祈っている少女の顔をジッと見つめる。
(……浅羽くん、なぁ。そんなにもそやつのことが好きなのか)
少女の記憶をのぞいてみれば、どうやら彼女は、その浅羽くんとやらに思いを寄せているらしい。
しかし、話したことはほとんどないようだ。
それなのに、すでにこの世にはいない相手のことをここまで一途に思えるとは……。
(ふむ、そうだな。最近は退屈していたし――持て余していた力を、ここらでドカッと使ってみるのも悪くはないかもしれんな)
――そんな神様の思いつきで、とある少女と少年の運命は、大きく変わることになった。
神とは本来、気まぐれで傲慢な存在なのだ。



