「それじゃあお母さん、手続きだけすませてくるから。こっちゃんも、青羽のためにありがとうね」
「いえ!」
そして今日はようやく退院の日だ。
大事をとって一週間入院していたんだけど、こっちゃんは部活がお休みの日や帰りが遅くならなかった日は、毎日お見舞いにきてくれていた。
「こっちゃん、あらためて、お見舞いにきてくれてありがとう」
「そんなの当たり前じゃない! 青羽が行方不明になって、本当、毎日生きた心地がしなかったんだから……何があったかくわしくは聞かないけどさ、困ったことがあったらいつでも相談してよね」
「……うん、ありがとう。こっちゃんだいすき!」
「ふふ、わたしも青羽だいすき!」
ぎゅうぎゅうに抱きしめ合っていれば、戻ってきたお母さんと看護師さんには微笑ましい目で見られてしまった。
これから部活に行くというこっちゃんとは病室で別れて、手続きをすませてくれたお母さんといっしょに病院を出れば、出入り口のそばに立っていた男の子が、わたしに気づいて近づいてくる。
そして、お母さんにぺこりと頭を下げた。



