「その、塾の先生が……皆の見えないところで、手とか、太ももとか触ってきて……それがすごく気持ち悪くて、嫌で……」
「……きっも。最悪だろ、そいつ」
浅羽くんは不快そうに眉をしかめた。
「それさ、そのまま親に伝えればいいじゃん」
「え? ……でも、だいじょうぶかな?」
「だいじょうぶって、何が?」
「わたしのせいで、その先生が辞めさせられたりとか、親だって、急にそんなこと言われても困るんじゃないかなって……」
「いや、だからってアンタが我慢する必要なんてないだろ。正真正銘セクハラされてんだから、むしろすぐに言った方がいい」
「……うん、そうだよね」
「つーかさ……アンタって自分の気持ち、親に正直に話したことあるの?」
「っ、え?」
「何か、自分の気持ち押し殺して、何でもかんでもためこんでそうなタイプだよね」
「そ、んなことは……ないと思うけど……」



