山道を走る。
カーブが多い。
隆史はすでに酔っていた。
元々 乗り物に弱い咲子も、いつもなら酔っているのだが、このときばかりは全く酔わなかった。
彼女は、それどころではないのだから…。
『ただいまー。
…あら?咲子…?』
『まだ帰ってないのか?』
『そうみたい。
…でもランドセルも無いのよ。』
『え…?』
『まさか…誘拐!?
け…警察に…』
『待て!まだ誘拐と決まったわけじゃない。友達と遊んで遅くなっているだけかもしれない。』
『じゃあ、咲子のお友達の家に電話してみるわ!』
そう言って、咲子の母親は受話器を手に取った。


