うしろの正面だーあれ




生物室へ向かう階段で、誰かが蹲(ウズクマ)っているのが見えた。



「どした?気分悪いか?」



彼女の体を支えた隆史は、それが沙良であると気付く。



「…ごめん、貧血かも…。」



そう言った沙良の傍らに投げ出されていたのは、綺麗にデコレーションされた きらびやかな携帯だった。



その携帯は、絶えず振動を繰り返す。



その情報だけで全てを察した隆史は、沙良を保健室に連れていこうと、彼女の前に しゃがんだ。



その行動を理解出来ずに目を泳がせる沙良。



乗ってこない沙良を、隆史は横を向いて急かした。



「ほれ、早く乗れ。」



「え…!?だって…」



「別に、保健室に連れ込んで襲ったりなんかしねぇよ。」



「…いや、そうじゃなくて…」



「重いときは重いって言うから、早く乗れ。」



「………………。」



そう言われた沙良は、渋々 隆史の背中に覆い被さった。