うしろの正面だーあれ




“沙良、今 何してる?”



“沙良、電話して。
沙良の声、聞きたい。”



“沙良、何 無視してんの?”



“沙良、授業中でも返せよ。”



“沙良、殺すよ?”



突然 目眩が沙良を襲う。



毎日毎日 送られてくるのだ。



僕から逃れる術は無いとでも言うように…。



沙良が返信をしない限り送り続けてくるメールは、時間が経つにつれ荒々しげになっていく。



“殺す”という言葉は、昔の一喜からは想像もつかない言葉だ。



あの一喜が使うとは到底 思えない。



しかし、彼は変わってしまった。



その豹変ぶりは、誰にも止めることが出来なかった。



親代わりの叔父夫婦も、腫れ物を触るようにしか扱えなくなってしまったのだ。



そして、憂でさえ兄を救う術は無かった…。



いや、彼は今も探しているのだ。



兄を救う術を。