『――――い! ねえ! ねえってば!』 俺には、ぽっかりと空いた大きな穴がある。 ずっと埋められないままでいる、大きな穴が。 『あ? なんだよ』 『まさか、忘れたとか言わないよね!』 『は?』 『絶対! 絶対なんだからね!』 『…………』 『聞・い・て・る・の?!』 「……ああ。聞いてる。ちゃんと、覚えてるよ」 覚えてなかったらそもそも、……こんな恰好してねえっつの。 「……誰にも、忘れられて堪るかよ」 それが、たとえ誰であろうとも。 そしてそれを、……――望んでいようとも。