すべてはあの花のために⑤


「どうしてっ。わたしは……っ」


 シクシク。しくしく。
 涙を流しながらたくさんのお花に、話を聞いてもらっていました。


「どうしたの?」

「え……?」


 いつの間にか、とっても可愛らしい女の子が、心配そうにこどもを見ていました。

 でもこんなこと、誰にも言えませんでした。
 ただただこどもは、涙を流します。

 でもその女の子は、そんなこどものそばにずっといてくれました。


「……どうして。なにもきかないの……?」

「だって、言いたくないんでしょ?」


 そう言って女の子は、笑って白詰草の花冠を作って、こどもの頭へ乗せてくれました。


「でも、声に出したらスッキリかもしれないよ?」

「え……?」


 そう言って女の子は耳を塞ぎました。

 だからこどもは、つらいんだと。
 苦しいんだと。悲しいんだと。寂しいんだと。

 それだけ、言葉にしてみました。


「どう?」

「……よく。わかんない……」


 スッキリしたかどうかなんて、こどもはわかりませんでした。


「じゃあ、スッキリするまで言ったらいいよ」

「えっ?」


 ほら、早く。
 女の子は急かします。

 こどもは慌てて、自分の気持ちを言葉に、たくさんたくさんしました。
 涙を流しながら言ってたはずなのに、なんだか途中からそんな自分がおかしくなりました。