若頭は拾い猫を甘やかしたい。

「都…」


「みやこ?名字は。」


「月夜。」



お兄さんは名前を聞いて少し驚いた顔をしていた。

…どうして驚いてるんだろう。私の名前、おかしいのかな。



「お前、ほんとに猫みたいだな。」


「猫?」


「みやこ…ね。OK。」



私が猫みたいっていうことには説明は無くて、少し嬉しそうに私の名前を呼ぶお兄さん。


決して私の名前がおかしくて笑っている訳ではなさそう。


「お兄さんも教えて。」



「俺は相模 弥生。今年で20歳だよ。」



相模、弥生さん、私よりも2つ年上だ。
雰囲気からしてもう少し上だと思ってたから意外かも…。



「私、18歳。高校3年生。」


「へー…。……都、帰る家あんの。」



これは私が苦手な質問だ。
だって、私に帰る家なんて無いから。



「…無い。私、孤児だから。」



孤児っていう言葉を吐き出す度に、とても悲しくなって、一気に胸が苦しくなる。