若頭は拾い猫を甘やかしたい。

成宮 " 組 " の若頭…って、弥生くんも若頭とか言ってたような…。


ていうことは王子ってまさか


「ヤクザなの?」



私がそう聞くと、王子は王子とは程遠いほど険しい顔をした。


「お前、最初から知ってたんだろ?」



まだ私がスパイだとか変なこと言ってたんだ。


「ううん、何も知らなかった。今初めてあなたがヤクザってこと知った。」



…もう別にこの人がヤクザだろうが何でもいいから頭痛いし早く手離してくれないかな。


力が入ってて痛い。


だけど王子の手には更にグッと力が入った。




「は、お前、本当に知らなかったのか?相模のスパイなんじゃねーの??」


「知らないって言ってる。スパイとか興味無い。だから早くこの手離して、痛い。」



保健室で少しでも休もうと思ってたのに、これじゃ腕まで痛くなってしまう。


私がそう言うとやっと手をパッと離してくれた。




「じゃ、なんで人の電話盗み聞きしてたんだよ。」


「誰かをいじめてるみたいな声が聞こえてきたから中を見てみただけ。」



「は、いじめ?」


「うん、命令口調だった。」



人は弱いものには命令口調になっていじめるから。