若頭は拾い猫を甘やかしたい。

聞こえてきた言葉からして、誰かをいじめてるみたいな感じだった。


少しだけ見てみても良いかな、と思いその空き教室のドアの窓からチラッと中を見てみると



…え??


中には人は1人だけで、しかもそれは



「王子…??」



絶対に会いたくなかった王子だった。

王子はこっち側には背を向けている状態で誰かと電話しているみたいだった。


…逃げなきゃ。



本能的にそう感じて、王子が気づく前に逃げようと思い反対方向に足を動かそうとする。



ガラガラ



「おい、お前見てたのバレバレなんだよ。」


「っ…!」




だけどどういう訳か、ドアが凄い勢いで開いて、私の腕はしっかりとその男によって掴まれていた。



「ちょっとこっち来いや。」



そんな声と共に私の腕は空き教室の中へと引っ張られて、

ドンっと壁に強く押し付けられた。



「……それが本性なの。」




今目の前にいるこの男_______王子は昨日私が見たのとは全く違う雰囲気。