若頭は拾い猫を甘やかしたい。

柳城さんがスピードを飛ばしてからはあっという間にこの広いお家に着いた。


それまでの間、弥生くんは私のことを抱きしめているままだったけど何も話さずに静かだった。



「若、どうぞ。」



柳城さんがドアを開けると、弥生くんはぐいっと私の手を引っ張って家の中へと入り、ズンズンと部屋の方へと向かう。


「…弥生くん、速い。」


「……。」



私が速いと言うと、少し歩く速さを遅くしてくれたけど何も返事はしてくれない。


どうしたんだろう、こんなに急いで。



それから部屋の前に着くと弥生くんはドアを開けてすぐに私を入り口近くの壁に追い込んだ。



「都、ちなみにその王子って奴は男なんだよね?」


それから私を見下ろして最高に不機嫌そうな顔でそう聞いてくる。



「うん、男の子。」


「なんでほっぺにキスなんてされちゃったの?」


「3秒間見つめたら帰してくれるって言ってたから見つめてたら急にされた。」



ちっ、と確かに目の前の弥生くんから聞こえてきた。

そして私の顔の横に置いている手をぎゅうっと強く握りしめている。