若頭は拾い猫を甘やかしたい。

ちーちゃん以外にこんなに私のことを思ってくれる人は居ないと思う。


昔から唯一の私の味方でいてくれるから。


「も〜〜、このド天然たらしー!大好きよー!」

「わ、ちーちゃん苦しい…。」



何故か目に涙を浮かべて私にぎゅーっと抱きついてくる。

力強くて苦しいけど、暖かくて私はこの腕の中が大好きなんだ。


「いつか私にもその人に会わせてね。」


「うん。」



それからは一限が終わるまでちーちゃんと他愛もない会話をして屋上ですごした。


キーンコーンカーンコーン




「チャイム鳴ったし教室戻ろっか!」

「そうだね。」



屋上から出て、2人で教室に戻っていると少し先の廊下の所に人だかりが出来ていた。



「何かしらあれ。邪魔ね〜。」



ちーちゃんが眉間に皺を寄せてポツンと不満を漏らしている。


あそこを通らないと教室には戻れないから確かに困る。



段々とその人だかりに近づいていくと、人だかりの中心に誰かが立っているのが見えた。



「ん〜?誰かしらあれは。」



そこには金色の髪の毛に、背が高くてニコニコと女の子たちに手を振っている男の子が居る。



「うわ、あれって王子じゃない??」


「王子?」



ちーちゃんはこの人を知っているのだろうか。



「そう、王子こと成宮 蓮斗。超ハイスペック男子で愛想までいいから王子って言われてるのよ。」


「…そうなんだ。」




初めて知った。


「はぁ、とりあえず隙間見つけて通ろっか。」


「そうだね。」



2人で人だかりの隙間を頑張って進んでいると、


ドンっ


「わっ…!」



誰かに急に押されて体勢を崩してしまった。