若頭は拾い猫を甘やかしたい。

「都、行ってらっしゃい。変な男には気をつけるんだよ。」


乗ろうとする前に弥生くんに手を引かれて耳元でボソッと変なことを囁かれる。


…うぅ、耳熱い。


「うん。行ってきます。誰も寄ってこないから大丈夫。」


「……ん。(やっぱ心配だな。)」



何やらまだ不満そうな弥生くんはもう気にせずに車へと乗り込む。


広い車…。
なんだか逆に緊張する。



「それでは、学校の方へ向かいますね。」



柳城さんがそう言って車が進み始めた。


まだ車の中からは弥生くんの姿が見える。
だけどそれもすぐに見えなくなってしまった。



その瞬間、




「はぁぁぁぁぁ。だるいな。」



「え?」



私と柳城さん2人だけの車から、まだ私が聞いたこともない低い声が聞こえてきた。



…え、今のは柳城さん…??



「なんで俺があんたみたいな女の送迎しなきゃいけねーんだよ。」



あんた、っていうのに当てはまりそうなのは私しか居ない。



「なぁ、一体どんな手使って若頭のこと惚れさせたわけ?」



そして何やら訳の分からない事を聞いてくる。



「若頭…って、弥生くんのことですか。」



「他に誰がいんだよ。…若を君付けしやがって。」


「惚れさせるとかまず間違ってます。弥生くんはただ親切なだけ。」



それに、私がどんな手を使っても、きっとあの人が私に惚れるなんてことは無いだろう。