若頭は拾い猫を甘やかしたい。

「俺、都にだけは怖いとか思われたくねー。」


「弥生くん、くすぐったい。」



弥生くんの柔らかい髪の毛が顔周りに当たってこそばゆさを感じる。

それに私が弥生くんを怖いと思うことなんて、無い…と思う。



だけど弥生くんは、


「俺が怖くなったときは遠慮なく言っていいから。」



だから、俺から離れたりしないで、なんて弱々しく言葉にする。


…どうしてこの人は私をこんなに大切なもののように扱ってくれるんだろう。


どうして私が離れていくのを怖がるんだろう。



不思議な思いに包まれつつも、全く嫌な感じはしなくて、むしろ胸がきゅうっと締め付けられるような気がした。


…なんだろうこれ。



「弥生くんから離れたりなんてしないよ。」



そう言って弥生くんの服をキュッと掴む。

そして頭の中では、案外弥生くんは寂しがり屋なのかもしれない…と考えていた。