若頭は拾い猫を甘やかしたい。

「ヤクザ…?」

「そ。親父が組長だから俺もなったんだよ。」



…この世に、本当にヤクザっていうものが存在していたんだ。

聞いたことはあったけど、なんか暴力団とかそういうものなんだよね?



「都、俺のこと怖い?」


不安そうな目をしながら、私の様子を伺うようにそう聞いてくる。


…正直言うと、暴力団だとよく聞くヤクザなんて怖いという思いしかない。


だけど、



「ヤクザ…は怖い。でも、弥生くんは弥生くんだから怖くない。」



まだ少しの時間しか経ってないけど、弥生くんの優しさは本物だと思うし。

弥生くんがどんな人であっても、私にとって恩人だということに変わりは無いから。



「あーー無理。無理無理無理。」


すると、弥生くんは頭を抱えながら無理を連呼し始めた。


「弥生くん、大丈夫?」


弥生くんの肩をポンっと叩こうとしたら、素早い動きで腕をパシッと掴まれた。

そして弥生くんは私を自分の腕の中にぎゅうっと閉じ込めて、




「都が可愛すぎて死ぬかも。」



凄く甘い声で私の耳元でそう囁いた。