若頭は拾い猫を甘やかしたい。

「弥生くん。」

「ん。なに??」

「そういえば私って、学校どうすればいいの?」



今ふと学校という存在を思い出して、明日が学校だということも思い出した。

ほんとは学校なんて行きたくないけど、大切な親友には会いたいから。


「あー、俺ん家からは多分都の学校遠いから明日から車で送迎するよ。」


「え?車?」


「そー。」


まだあと卒業まで数ヶ月はあるのに、それからずっと車??
それはさすがに…


「弥生くんが大変になっちゃう。」



私の送迎ごときで弥生くんの労力を削ったらだめだ。


「大丈夫だよ。俺が運転するわけじゃないから。」


「…え?」



それじゃあ誰が?



「都専用の運転手用意しておいてる。」


…………私専用の運転手?

話についていけなくて思考が停止する。




「都?分かった?」


「弥生くんって、凄い人なの?」



専用運転手なんて今までに聞いたことがない。そんな人を私ごときの為に雇えるって凄い人なんじゃ…。

社長さんとかそういう系の。
そう思っていたら弥生くんは全く表情を変えずに、



「ヤクザだよ、俺。」



と、驚きの一言を放った。