若頭は拾い猫を甘やかしたい。

今の声は気のせいなのだろうか。

きっと寂しさが限界に達して遂に幻聴まで聞こえるようになってしまったみたい。




「ねー、お前捨てられてるの。」



あれ?幻聴じゃ…ない…?


ドラム缶からひょっこりと顔を出してみると、大きな黒い傘に、黒いスーツに、黒髪の背の高い男の人が私の目の前に現れた。



「あなた、誰…?」




初めて見る人で、こんな大雨の中公園に入ってくるなんて珍しい…。



色々な好奇心が勝って、思わず声をかけてしまった。

この人も、危ない人かもしれないのに。