妃候補なんて興味ありません!

肝心のシーラと言えばさっき運ばれてきたバケットに視線を持っていかれてリフィップ王子が入出したことに気がついていなかった。

あぁ、おいしそうなバケット。
あれはトマトソースにひたしてたべたら絶品だと思うわ……。

そんなことを考えている間に次々と料理が運ばれてきて本格的な食事が始まった。
姫たちはみんな美しい所作で食事と談笑を続ける。

そんな中シーラはフィリップへ視線を移すこと無く、もくもくと目の前の食事を平らげていく。
スープもバケットも最高!

それにこの鶏肉料理は市場で売っていたものと同じじゃないかしら?

鶏肉を甘辛いソースに絡めて炒めた料理は頬が落ちてしまいそうなほどおいしかった。

「あぁ、おいしかった!」
美味しい料理をひとしきり堪能したあとようやく周囲を見回せば、何人かの姫たちがこちらを見て笑っているのがわかった。

なにか変なことでもしたかしら?
と思って首をかしげていると、隣に座る8番目の妃候補が「頬にソースがついていますわよ」と、教えてくれた。

シーラは慌てて手の甲でそれをぬぐい、部屋の隅で様子を見ていたリュナは深く嘆息したのだった。