妃候補なんて興味ありません!

「そんなんじゃフィリップ王子に選ばれませんよ?」
シーラの金色の髪の毛をタオルで乾かしながらリュナがまた小言を言う。

「もともと選ばれることはないってわかってるわ。だから私、今回はデンダン国を謳歌するためにここへ来たのよ」

堂々とそんなことを言うシーラは本気で自分を妃候補だとは思っていないようで、異国の地にどんな楽しいことがあるか、目を輝かせている。

「市場には島国にはないキレイな生地があったわ。あれをお土産に買って帰ろうかしら。それに鶏肉料理のとてもおいしそうな匂いもしていたわよね。あれはなんという料理かしら」

ここへ来るまでに馬車の籠の中で揺られていたはずだけれど、自分の興味のそそられるものはちゃんとチェックしていたみたいだ。

「それはいいですけど、まずは妃候補として頑張ってください。買い物は国へ帰るときです」
「わかってるわよ」

リュナの言葉にシーラは面白くなさそうに唇を尖らせたのだった。