妃候補なんて興味ありません!

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シーラは自分が10番目の妃候補であることも、きっとフィリップ王子には選ばれないであろうということも自覚していた。

だって、他に9人もの妃候補たちがいるというのに、どうして自分を選ぶ必要がある?
シーラは小さな島国の姫だけれど、他の子たちはこのデンダン国と大差ない大国からやってきている。

その中には国と国との外交目的の姫もいるけれど、その点についてはフィリップだってよくわかった上での妃選びだ。

もちろん、互いに相思相愛で結婚できるならこれ以上にない幸せだろうが、そんなことを言っていては国は滅びてしまう。

互いの利害関係が一致する姫を選ぶとするなら、シーラは1番にその座からはじき出されるはずだった。

シーラの暮らしている島国は資源があるから貧困には困っていないが、武力はほとんどないに等しい。

シーラの父親に当たる国王様が、争いごとを嫌っているからだ。
幸いにして島国だから簡単に敵に攻め入られることもなく、今まで平和に暮らしていた。

「あぁ、気持ち良かった」
シーラがようやく水浴びを終えて10番目の妃邸に戻ってくると、リュナがため息交じりに後を追いかけてきた。