10歳で侍女としてシーラの元へやってきたときは、こうして隣り合って座っても随分と小さく見えたものなのに。

「えぇ、月日は流れていますよシーラ様」
髪をなでらるのがくすぐったいのか、少し頬を赤らめて答える。

「そうね。あなたも大人になった。きっとこれから1人でも平気ね」
シーラのその言葉にリュナがハッとしたように目を見開いてシーラを見つめる。

「私になにがあっても、あなたのせいじゃない。それはみんなわかってくれていることよ」

「シーラ様……」
「大丈夫。次の仕事だってきっとすぐに見つけられるから」

「そんな!」
あまりに悲しい言葉に何かを言い返そうと思ったとき、ドアをノックする音が響いた。

リュナが条件反射のように立ち上がり、ドアへと急ぐ。
少し開いたドアから外を確認し、それから大きく開かれた。

「シーラ様!」
部屋に入ってきたのはリディアだ。
「リディア! 怪我はなかったの?」