そうやってうやうやしく差し出されたのはトレーだった。
トレーの上には白い布がかけられていて、そこになにがあるのかは見ることができない。

お礼なんてと断ろうと思ったシーラだけれど、ものを見ずして断るのも失礼だと思い、白い布を片手で外した。

そこに出てきたは真っ白な真珠のネックレスだったのだ。
ひとつひとつの玉はとても大きくてキラキラと輝いている。

「まぁ、素敵!」
思わず本音が漏れてリュナに睨まれてしまった。

シーラはこほんと咳払いをして「こんな高価なものを受け取ることはできません」と、一歩後へ下がった。

国としてひとまず誠意を見せなければならないから、格好だけでも贈り物をしたことはシーラだってわかっている。

今や世界を探してみても希少になっている異能持ちへの今度の処遇は、追って聞かされるはずだった。

「さようですか」
案の定、アルバンは素直に引き下がった。