龍へ向けて声をあげると、龍はひときわ大きな咆哮を上げて敵軍へ襲いかかる。
ある者は焼け焦げる前に逃げ出し、ある者は果敢に龍たちむかうものの、赤子の手をひねるように倒れて行く。
何百といた赤い兵士たちは次々に逃げ去っていき、残るは銃を持った1人の兵のみになった。
が、彼もまた強い武器を持ちながらも冷や汗が流し、ジリジリと後ずさりを続けている。
「殺したくないの。逃げてちょうだい!」
シーラの声が聞こえると同時に龍が火を吹いた。
兵士が背を向けて駆け出すが一歩遅く、その尻に火が燃え移った。
「ぎゃああ! 熱い熱い熱い!」
兵士はたまらず銃を投げ捨てて中庭へと走ると、そのままの勢いで井戸の中に頭から突っ込んで行ってしまった。
シーラがハッとして駆け寄り、井戸の中を確認する。
井戸の中にはたっぷりと水が入っているからきっと大丈夫だと思うけれど……。
そのときザバリと音がして赤い兵士が水面から顔を出した。
シーラはそれを見てホッとして微笑む。
そしてフィリップ王子へ振り向くと「これで敵軍はいなくなりましたわ」と、微笑んだのだった。
ある者は焼け焦げる前に逃げ出し、ある者は果敢に龍たちむかうものの、赤子の手をひねるように倒れて行く。
何百といた赤い兵士たちは次々に逃げ去っていき、残るは銃を持った1人の兵のみになった。
が、彼もまた強い武器を持ちながらも冷や汗が流し、ジリジリと後ずさりを続けている。
「殺したくないの。逃げてちょうだい!」
シーラの声が聞こえると同時に龍が火を吹いた。
兵士が背を向けて駆け出すが一歩遅く、その尻に火が燃え移った。
「ぎゃああ! 熱い熱い熱い!」
兵士はたまらず銃を投げ捨てて中庭へと走ると、そのままの勢いで井戸の中に頭から突っ込んで行ってしまった。
シーラがハッとして駆け寄り、井戸の中を確認する。
井戸の中にはたっぷりと水が入っているからきっと大丈夫だと思うけれど……。
そのときザバリと音がして赤い兵士が水面から顔を出した。
シーラはそれを見てホッとして微笑む。
そしてフィリップ王子へ振り向くと「これで敵軍はいなくなりましたわ」と、微笑んだのだった。



