妃候補なんて興味ありません!

外が暑すぎて井戸水で水浴びをしていたシーラは能天気なことを言う。
だけど今姫君たちが焦ったところで事態は好転しない。

不安だけれど、おとなしく待っているのが得策だった。
使用人がランプに火を灯すと、地下室全体の様子が浮かび上がってきた。

地上へ続く通気孔からしっかりと酸素が入ってきている。
それに、数日間ここにいても平気なように食物の備蓄が豊富だった。

「ここはキッチン?」
地下室の奥には埃のかぶった竈があり、シーラは驚いた声をあげた。

奥のには鉄製の分厚い扉もあり、湯浴みもできるようになっているようだ。
「最低限の生活ができるようになっております」

使用人の説明にシーラは目を向いた。
ここは一次避難するだけの地下室だけれど、庶民の家よりも立派なようだ。
「ここで国が滅んだら外交は台無しだな」

竈に感動しているシーラを横目に、1番姫君がつぶやいた。