妃候補なんて興味ありません!

「実は敵国は攻めてきたのです。でも大丈夫、城の中にまでは入ってきませんから」
早口に言いながらもその男性使用人の顔色はひどく悪い。

今は妃候補たちが城にいる状態だから、気が気ではないのだろう。
姫君たちに万が一のことがあれば、この国もただではおかれない。

「シーラ様、もしものときに備えて地下室へご案内します。こちらへ」
使用人にそう言われてリュナと共に部屋を出ると、他の姫君たちも不安そうな表情で部屋を出てきたところだった。

「ここまでは攻め入ってこないのですよね?」
8番目姫君のリディアが不安そうな声で質問している。

突然の事態にその顔色は真っ青だ。
「もちろんです! ですが地下室の方が安全ですので」

使用人に引きつられてゾロオロと地下室の階段を降りていく。
途中から陽が差し込まなくなって、そこはヒヤリと肌寒いくらいだった。

「ここの気温は快適ね」