妃候補なんて興味ありません!

「ダメです! 王子様が妃候補を選んでいる間は、街へ行くことは許されません!」
「そんなにカリカリしないでよぉ」

「甘えたってダメなものはダメです! 今日は刺繍の道具を借りてきたので、それで暇つぶしをしてください」

ドンッと丸テーブルの上に置かれた刺繍セットにシーラは「うげぇ」と、姫らしくない声を漏らす。

刺繍は何度かチャレンジしたことがあるけれど、体は痛くなるし針は指に刺さるし、花を刺繍していたのにできあがったものは得も言われるモンスターだった。

そのとき刺繍は向いていないとわかったのだ。
更にリュナへ懇願しようとしたときだった。

城の廊下が騒がしいことに気がついてシーラはドアへ近づいていった。
そっと開いてみると、何人かの兵士たちが出口へ向かってかけていく。

それを見送ってからシーラは使用人の1人に声をかけた。
「なにかあったんですか?」