妃候補なんて興味ありません!

「これはなんなの!?」
「いやぁ! 助けて!」

混乱した姫君たちが次々に食堂から逃げていく。
侍女たちも慌ててその後を追いかけた。

そしてすっかり姫君たちがいなくなってしまってから、ようやく龍はシーラの元へと戻ったのだった。

後に残されたフィリップ王子が呆然とした表情でシーラを見つめる。

あぁ……やっちゃった。
明日には国に帰されるかも。

いや、それならまだいいのかな。
こんな異能を持っているとバレたら、最悪死刑に……。

そこまで考えたときだった。
「すばらしい! 今のは手品か!?」

と、フィリップ王子がその場に立ち上がって拍手しはじめたのだ。
シーラはあっけにとられてドア付近にいるリュナへ視線を向ける。