妃候補なんて興味ありません!

これといって特技は持っていないし、この場で披露すれば笑いものにされるとわかっている。

なにもしないという選択肢をとるのも難しいとなると、なにかできることをやるしかなかった。

「次はあなたの番よ」
そう言われてシーラはハッと息を飲んで顔を上げた。

いつの間にか9人の姫君たちはすでにアピールタイムを終えて、のんびりと寛いでいる。

「えっと……それじゃ……」
ひとまず席を立って周囲を見回す。

フィリップ王子が笑顔でこちらを見つめているのがわかって、緊張が加速していくのを感じた。

いくら結婚する気がないといっても一国の王子様に見つめられると照れてしまう。

「あ、それじゃ私はトマトスープを作ります」
食事に出てきたスープはコーンだった。

それもとびきり甘くて美味しかったけれど、やはりあのバケットにはトマトスープのほうが合うと思ったのだ。

しかしシーラの発言にフィリップ王子の表情が曇った。
「しかし、今食事を終えたばかりで入るとは思えないな」
それもそうなのだけれど、じゃあなにをすればいいのか検討もつかない。

他の姫君たちと対等になろうなんて考えていないけれど、なにもできませんでは済みそうにもない。