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保人の家から逃げ出してからどうやって自分の家に戻ってきたのか記憶がなかった。
気がついたら玄関のたたきに座り込んで深い呼吸を繰り返していた。
「愛花帰ったの?」
玄関の開閉音を聞いたのだろう、お母さんがリビングから出てきた。
その姿を見てようやくキッチンからカレーの匂いが漂ってきていることにも気がついた。
「こんなところに座り込んでどうしたの」
「走って帰ってきたからちょっと疲れただけ」
そう返事をして自室へと向かう。
今はいい子を演じることは難しそうだった。
カバンを床に置いてベッドに倒れ込むようにして寝そべる。
目を閉じたら保人の遺影を思い出してゾクリと寒気が走った。
なにか楽しい動画でも見て気分を変えよう。
そう思ってスマホが入っているカバンに手を伸ばした、そのときだった。
視界の端に人影が見えてハッと息を飲んだ。
が、顔を向けるとそこにはなにもいない。
自分がいつも使っている机があるだけだ。
ドクドクと心臓が嫌な音を立て始める。
私はカバンに伸ばしていた手を引っ込めてベッドから立ちあがった。
そしてゆっくりと机に近づいていき……そこについさっき燃やしたはずの保人の日記帳を見つけたのだった。
保人の家から逃げ出してからどうやって自分の家に戻ってきたのか記憶がなかった。
気がついたら玄関のたたきに座り込んで深い呼吸を繰り返していた。
「愛花帰ったの?」
玄関の開閉音を聞いたのだろう、お母さんがリビングから出てきた。
その姿を見てようやくキッチンからカレーの匂いが漂ってきていることにも気がついた。
「こんなところに座り込んでどうしたの」
「走って帰ってきたからちょっと疲れただけ」
そう返事をして自室へと向かう。
今はいい子を演じることは難しそうだった。
カバンを床に置いてベッドに倒れ込むようにして寝そべる。
目を閉じたら保人の遺影を思い出してゾクリと寒気が走った。
なにか楽しい動画でも見て気分を変えよう。
そう思ってスマホが入っているカバンに手を伸ばした、そのときだった。
視界の端に人影が見えてハッと息を飲んだ。
が、顔を向けるとそこにはなにもいない。
自分がいつも使っている机があるだけだ。
ドクドクと心臓が嫌な音を立て始める。
私はカバンに伸ばしていた手を引っ込めてベッドから立ちあがった。
そしてゆっくりと机に近づいていき……そこについさっき燃やしたはずの保人の日記帳を見つけたのだった。



