復讐殺人日記

通されたのは奥の和室で、そこには棚と一体型になった近代的な仏壇が置かれていた。
「うちには仏壇がなかったから、急遽購入することになったの」

力なく説明するお母さんと視線を合わせることができない。
私たちは仏壇の前に座り、順番に手を合わせていった。

遺影の保人がジッとこちらを睨みつけているように感じられて、畳の目ばかりを見つめた。

「お茶でも飲んでいってね」
「いえ、おかまいなく」
瑞穂がすぐに答える。

少しゆっくりしていくのが普通なのかもしれないけれど、これ以上ここにいたくはなかった。

自分たちが死に追いやった人間が暮らしていた家なんかには。
「でも、それじゃ悪いわよ。保人の学校での様子も聞きたいし」

そんなもの話せるわけがなかった。
保人はいつもひとりで時々私たちにイジメられるくらいしか学校生活はなにもなかっただろう。

それが元はと言えば自分のせいだから、誰にも相談できずにいたに違いない。