☆☆☆
保人の家の玄関先には【忌中】と書かれた紙が張り出されていて、昔おじいちゃんが死んだとき同じ紙を見たことを思い出した。
日奈子が一番前に立ち、玄関チャイムを押す。
夕方近い時間で、その家ごと周囲はオレンジ色に包み込まれていて、玄関ドアが異界へと続く扉に見えた。
「はい」
少し待っただけで中から女性が出てきてくれた。
その女性は保人の葬儀のときにも会ったのですぐに母親だとわかった。
だけど葬儀のときよりも随分と白髪が増えて老け込んでしまったように見える。
人は心労によって一気に老け込むと聞いたことがあったけれど、あれは本当だったみたいだ。
「あ、あの」
「ああ。あなたたちは中学の生徒さんね? 確か葬儀のときも来てくれた?」
私たちの顔を覚えていたことに驚いた。
まさか保人の部屋に侵入したこともバレているんじゃないかと、内心ヒヤリとする。
けれど保人のお母さんはそれには気がついていなかったようで、すぐに家の中に招いてくれた。
「どうぞ。保人はこっちにいるから」
保人の家の玄関先には【忌中】と書かれた紙が張り出されていて、昔おじいちゃんが死んだとき同じ紙を見たことを思い出した。
日奈子が一番前に立ち、玄関チャイムを押す。
夕方近い時間で、その家ごと周囲はオレンジ色に包み込まれていて、玄関ドアが異界へと続く扉に見えた。
「はい」
少し待っただけで中から女性が出てきてくれた。
その女性は保人の葬儀のときにも会ったのですぐに母親だとわかった。
だけど葬儀のときよりも随分と白髪が増えて老け込んでしまったように見える。
人は心労によって一気に老け込むと聞いたことがあったけれど、あれは本当だったみたいだ。
「あ、あの」
「ああ。あなたたちは中学の生徒さんね? 確か葬儀のときも来てくれた?」
私たちの顔を覚えていたことに驚いた。
まさか保人の部屋に侵入したこともバレているんじゃないかと、内心ヒヤリとする。
けれど保人のお母さんはそれには気がついていなかったようで、すぐに家の中に招いてくれた。
「どうぞ。保人はこっちにいるから」



