復讐殺人日記

だけど隣に立つ日奈子はジッと灰になった日記帳を見つめるばかりだ。
本当にこれで明日の自分は大丈夫なのか、まだ不安が残っているのが見ていてわかる。

「それじゃ、次は保人の家に行ってみる?」
私は足で灰を踏みつけながら日奈子に声をかけた。

日奈子がようやく顔を上げる。
「え?」

「まだ怖いんでしょう? でもできることっていったらもうそれくらいしかないよ?」

保人の家に行き、手を合わせる。
まだ納骨は行われていないから保人の骨は家にあるはずだ。

「今から保人の家に行くつもりか?」
貴斗が嫌そうな顔を浮かべる。

できればもう保人とは関わりを持ちたくないんだろう。
だけど日奈子が「行く」と短く返事をした。

「保人の呪いだとしたら、もう1度ちゃんと手を合わせて許してもらわなきゃ」
日奈子は本気だ。

私は呪いも幽霊も信じていなかったけれど、今までの現象を証明できるものはなにもない。
保人の呪いと考える他ないと感じていた。

「わかった。じゃあ行こう」
貴斗へ視線を向けると、渋々頷いたのだった。