復讐殺人日記

私はそんな日奈子の腕をつかんだ。
もちろん、逃げ出さないようにするためだ。
「なに言ってんの? こんなの信じるつもり?」

少し脅かすつもりで目を吊り上げて質問する。

「だ、だって、犬や猫のことだって本当だったし、イジメのことだって全部本当だし」
だから、子供殺しだけ嘘を書くのは不自然だと、日奈子は続けた。

「それならこう考えたらどう? 瑞穂が言ったとおり保人も頭はもうおかしくなってた。だから自分が犬や猫を殺して、人間まで殺したって思い込んでだ。保人にとっては嘘じゃないってこと。だからこれだけ詳細が書けたんだよ」

私はみんなに言い聞かせるようにそう説明して、今度こそ日記帳を閉じた。
正直気分が悪くてもう見ていたくなかった。
「たぶん、今愛花が言ったとおりだと思う」

貴斗が同意したおかげで、なんとなくこの場の空気がおさまりつつあった。

私は日記帳を丸めて手に持ち「これは私が持っておくから大丈夫」と、つぶやいたのだった。