保人は時折苦しげな声を上げながらカメよりも遅い歩みで進んでいく。
けれどそこから数歩進んだところで手足に限界がきた。
保人が崩れるように倒れ込み、貴斗が自分が巻き込まれないように素早く身を離した。
「お前、危ねぇじゃねぇか!」
怪我ひとつしていない貴斗が安人の背中を殴りつける。
保人はその一撃で完全に突っ伏してしまった。
手のひらがすりむけて血が出ているのが見えた。
けれどみんな容赦ない。
今度は瑞穂が保人のカバンをひっくり返した。
教科書やノートがバラバラと散乱して、保人が恐ろしいものを見る目つきで瑞穂を見上げた。
「お前まだ小説なんて書いてんの? もうやめなよ、才能なんてないんだからさぁ」
保人が文芸部に入っていてチマチマと面白くもない小説を書いていることは知っていた。
将来がゲームのシナリオ作りをしたいらしいけれど、その才能があるとは思えなかった。
瑞穂が保人の創作ノートを手に取ると、今まで突っ伏していた保人がようやく体を起こした。
けれどそこから数歩進んだところで手足に限界がきた。
保人が崩れるように倒れ込み、貴斗が自分が巻き込まれないように素早く身を離した。
「お前、危ねぇじゃねぇか!」
怪我ひとつしていない貴斗が安人の背中を殴りつける。
保人はその一撃で完全に突っ伏してしまった。
手のひらがすりむけて血が出ているのが見えた。
けれどみんな容赦ない。
今度は瑞穂が保人のカバンをひっくり返した。
教科書やノートがバラバラと散乱して、保人が恐ろしいものを見る目つきで瑞穂を見上げた。
「お前まだ小説なんて書いてんの? もうやめなよ、才能なんてないんだからさぁ」
保人が文芸部に入っていてチマチマと面白くもない小説を書いていることは知っていた。
将来がゲームのシナリオ作りをしたいらしいけれど、その才能があるとは思えなかった。
瑞穂が保人の創作ノートを手に取ると、今まで突っ伏していた保人がようやく体を起こした。



