復讐殺人日記

6月11日は信じられないくらい穏やかな1日だった。
まるで今までの出来事はすべて夢で、今目が覚めたような感覚さえあった。

でも、いつの間にか眠ってしまって日付が変わったとき、私たちはまだ過酷な現実の中にいることを知った。

「今日1日家から出なければきっと大丈夫」
「あぁ、わかってる」

貴斗はそうやって頷いたけれど、そう簡単にはいかなかった。
異変が起きたのは朝食にパンを焼いて食べたあとのことだった。

「トイレ貸してね」

そう言ってキッチンから出たとき、自分が思っているのとは逆方向へ足が動き始めたのだ。

「え、あ、なに!?」
混乱してうまく言葉も出てこない。

私の体はトレイとは逆方向にある玄関へとずんずん進んでいく。
いくら止まろうとしても、止まることができない。
「助けて貴斗!!」

玄関のたたきまでやってきてようやく叫び声をあげた。
キッチンにいた貴斗がすぐに駆けつけてくる。