復讐殺人日記

「だめ!!」
叫び声をあげて駆け寄る。
右手を伸ばして落下していく貴斗の足をつかもうとしたが、間に合わない。

私の手が空中をかき回すだけで意味がない。
そんな、嘘でしょ。
絶望感が体中を支配したとき、黒い影が現れた。

それはあっという間に保人の顔に変わり、落ちていく貴斗の右足首を掴んでいたのだ。

貴斗は空中で逆さ吊りの状態で止まった。
「なんだよ、おい、手を離せ!!」

自分の足首を掴んでいるのが保人だと気が付き、貴斗は暴れる。

けれど保人は手を離さず、その体をいとも簡単に引き上げてしまったのだ。

歩道橋に座り込み、呆然として保人を見つめる。
「まだ遊ぼうよ」

保人はそう言ってニヤリとした笑みを残すと消えていったのだった。