復讐殺人日記

「なんでよ」
焦る気持ちでどうにか電波を探すけれど、どうにもならない。
これも保人の仕業だろうか。

ギリギリと歯噛みにしたい気持ちになったとき、階下から「うわぁ！」と、貴斗の悲鳴が聞こえてきた。

「貴斗！？」
一瞬助けに行こうか躊躇してしまう。

貴斗ならひとりで対応できるんじゃないかと思ってしまった。
だけどこの家の中で生きている人間はふたりしかいない。

やっぱりほっておくことはできなかった。
部屋を飛び出して階段を駆け下りる。

そしてリビングのドアを開けた時、貴斗の上に馬乗りになっている保人がいた。
保人は両手はすでに貴斗の首を締め上げている。

「じゅーう。じゅーいち、じゅーに」
「貴斗から離れろ！！」
私は残されていた花瓶を手に取り保人の頭を殴りつけた。

保人の動きが止まり、貴斗が横に転がって逃げ出した。
「逃げるぞ！」

苦しそうに咳き込みながら貴斗が私の手を掴み、走り出したのだった。