復讐殺人日記

☆☆☆

放課後の屋上は風が爽やかで心地がよかった。
周りには当然誰もおらず、高いフェンスが設置されているだけで他にはなにもない。

グランドから部活動をしている生徒たちの声が聞こえてくるけれど、こっちの声が届くことはなさそうだ。

「さて、お前のために愛花が準備してくれた場所だ。感謝しろよ?」
貴斗に引きずられて連れてこられた保人が地面に転がる。

私は出入り口を施錠して、その鍵をポケットに入れた。
これで保人に逃げ道はなくなった。

体育館は日頃から開放されているから、昨日はこの閉塞的な絶望を味わわせることはできなかったのだ。

まぁ、鍵が相手いたって逃げ出せるとは思えないけれど。
「な、なにをする気?」

保人は地面に座り込んだまま、声を裏返して質問してきた。
その瞬間瑞穂が一歩前に出て保人の頭を叩いた。

バシッと結構いい音が響く。
「いつもどおり、あんたは質問禁止だから」

歯茎をむき出しにしてそう言う瑞穂はまるで野犬のようだ。