復讐殺人日記

「持ち家で、まだ売りに出してないのかもな。これならなにかまだ残ってるかもしれねぇ」
貴斗が期待に満ちた表情になる。

そもそもこの家に侵入したのは、呪いを解くためのヒントが残っていないた探すためだったみたいだ。

それなら一番に行くのは保人の部屋だ。
葬儀のときに一度入ったことのある家だ。

私たちは土足のままでキッチンを通り抜け、廊下へ出た。
そして玄関横にある階段を登っていく。

保人の部屋の前にたどり着いたとき、貴斗は一度立ち止まって振り向いた。
緊張しているのか顔がこわばっている。
私も同じくらい緊張していて、さっきから冷や汗が止まらない。

貴斗がゴクッと唾を飲み込む音が聞こえてきて、ドアノブをひねった。

ギィ……と低いキシミ音を立ててドアが開く。

部屋の中は淀んだ空気が停滞していて、私たちが歩くたびにそれが左右に揺れるような感覚がした。