「そう。でも沼岡さんは引っ越しちゃったのよ」
「それっていつ頃ですか?」
「つい3日前よ。突然の引っ越しだったから私も驚いたんだけど息子さんとの思い出が詰まった家にいるのが辛かったのかしらねえ」
女性にも子供がいるのか、その表情はとても他人事とは思えない様子だった。
「そう……ですか」
家族が引っ越してしまったということは、当然仏壇に手を合わせることもできないということだ。
落胆しかけた時、貴斗が一歩前に踏み出した。
「引越し先を教えてもらえませんか?」
「それが私も聞きそびれちゃったの。さっきも言った通り突然のことだったから」
女性が申し訳無さそうに頬に手を当てた。
嘘じゃないみたいだ。
それから女性は時間を気にして近所の家へと入っていってしまった。
「どうしよう。引っ越ししてるなんて思わなかった」
せっかくここまで来たのに降り出しにもどってしまった。
これからどうすればいいか、また考えないといけない。
考え込んでいると貴斗が庭へと入って行った。
「ちょっと、なにする気?」
「しっ! こっちに勝手口があったはずだ」
「それっていつ頃ですか?」
「つい3日前よ。突然の引っ越しだったから私も驚いたんだけど息子さんとの思い出が詰まった家にいるのが辛かったのかしらねえ」
女性にも子供がいるのか、その表情はとても他人事とは思えない様子だった。
「そう……ですか」
家族が引っ越してしまったということは、当然仏壇に手を合わせることもできないということだ。
落胆しかけた時、貴斗が一歩前に踏み出した。
「引越し先を教えてもらえませんか?」
「それが私も聞きそびれちゃったの。さっきも言った通り突然のことだったから」
女性が申し訳無さそうに頬に手を当てた。
嘘じゃないみたいだ。
それから女性は時間を気にして近所の家へと入っていってしまった。
「どうしよう。引っ越ししてるなんて思わなかった」
せっかくここまで来たのに降り出しにもどってしまった。
これからどうすればいいか、また考えないといけない。
考え込んでいると貴斗が庭へと入って行った。
「ちょっと、なにする気?」
「しっ! こっちに勝手口があったはずだ」



