復讐殺人日記

『ここで断ったら別の遊びを考える。これよりももっと楽しい遊びだ』
『それいいね』

瑞穂が貴斗の提案に手を叩いて喜んでいる。
これよりももっと楽しい遊び。
それは保人にとって更に過酷は試練ということになる。

その言葉に覚悟を決めたのか、保人は大通りへと向き直った。
そして一歩踏み出す。

保人の目の前を大型トラックが走り抜けて、風圧で髪の毛が揺れた。
それでも保人はもう止まれない。
ここで止まれば余計に危険だからだ。

走ってくる車と車に多少距離があるすきに車線を走り抜けていく。
しかし次の車線ではそううまくいかなかった。

保人が飛び出した瞬間次の車が目前に迫ってきていたのだ。
クラクションが鳴り響き、運転手が急ブレーキを踏む。

寸前のところで保人は轢かれずにすんだけれど、男性運転手が出てきて保人へと歩いていく。

保人が助けを求めるようにこちらへ視線を向けたので、私たちは素知らぬ顔をしてその場を去ったのだった。