「ありがとう。それじゃあ、職員室にーー」
そう言って、職員室へ向かおうとした瞬間。私たちの前に黄山くんが立ちはだかった。
「女の子が重たい物をーーなんということだ」
「え? いや、別に重たくはないよ……?」
半分以上を翡翠くんが持ってくれてるから。
「紫ちゃん。それらは全て、隣の彼に任せたら良い。女の子の華奢な手は、重たい物を持つためでなく好きな男と握るためにあるんだ」
フッ、と勝ち誇った顔をして言う黄山くん。
「いや、それは。翡翠くんは、私の仕事を手伝ってくれてて……! 本来は私がすることだから」
というか、距離が近い。顔がものすごく。
黄山くん、本当整った顔をしてる。何の感情を持っていなくても、心拍が速くなった。
「そうかーー。クラスメイトのために、健気に働くキミ。あぁ、なんと麗しい。ボクと結婚したら、献身的に家庭を支えてくれそうだ」
そう言うと、彼の手がスッと私の方へ伸びて来た。
ーーえ?
なになになになにっ……?
不安な気持ちでいっぱいになり、きゅっと目を閉じると顔の近くでパシッと肌が当たる音がした。
でも、私に当たってる感じはしない。
恐る恐る目を開けると。

