「紫ちゃんが、どうしたのですか?」
ワインを飲み、首を傾げる兄。
「紫には、そろそろ婚約者を決めてもらわないといけない」
「えっ!? 婚約者? 僕そんな話知らないけど」
当の本人である私よりも先に反応したのは、兄。
父から私の方を向いた。積極的に話すことではないから、兄に婚約者のことを言ったことはない。
「紫苑に言ったら、絶対反対して邪魔するだろ」
「当たり前じゃないですか! 紫ちゃんに婚約者なんて早すぎます!」
「紫の婿には、一日も早く我が村崎家について勉強してもらわないとならん。他にも医学の勉強も必要になる。早すぎることなんてないーーそれで紫」
真面目な顔をしたパパが私の方を見た。
「今度もう一人。婚約者候補と会うことになる」
「ーーえ?」
突然のパパの言葉に、目を丸くした。
「わ、私の婚約者ってーー翡翠くんじゃ……?」
「彼も候補の一人。もう一人とはーー学校で会うだろうから。そして、もう一つ。あと、二ヶ月後に控えた文化祭の前夜に、緑谷家の子息かもう一人のどちらを婚約者にするか決めてもらう。そして、報告を兼ねたパーティーを行う」
「えっ!?」
そんなことになっていたなんてーー。
私の気持ちはもう、決まってるのにーー。

