「だが、今後は大声での応援は控えてくれ。マナー違反ではあるから」
う……。
緑谷くんの注意に「ごめんなさい」と再度頭を下げて謝った。
ん……? ちょっと待って?
「あ、あの……! 今後って……?」
「応援は、今日だけか? もう、見に来てくれないか?」
「えっ!? い、いや……あの。い、いいの……?」
私が大会を見に行くの、すごく嫌がっていたのに。
意見が変わった事に驚き、パチパチと瞬きを繰り返した。
「来てくれるのなら、な。勝てる自信がなかったから、来て欲しいと頼めなかった。しかし、村崎のおかげで勝てたんだ」
「わ、私なんて……緑谷くんが、普段から練習に励んでるからだよ……!」
私のおかげなわけない。そりゃあ、ほんの少しでも力になれたのなら嬉しいけれど、全ては緑谷くんの努力の賜物。
しかし、私がどれほど彼の実力だからと言っても、緑谷くんは満足してくれそうになかった。
「あっ、お祝い! 優勝したから、祝わせて欲しいな……! 後日、色々準備するよ。好きな物とか、教えて欲しいな」
だから、話を変える事にした。
「お祝い……あ。それなら一つ、聞いて欲しいことがある。後日じゃなくて、今からでもできる」
「うん? 私にできることなら……!」
私が、そう返すと彼はくすりと笑った。

