無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?


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 この武道場は一階が試合会場、二階が観覧席の作りになっている。二階に移動してウチの学校の制服や体操服を着た人達が多い席へ向かった。
 八割くらいが空手部の人だけど、空手部以外の人もぽつぽつといた。

 端の方の人がいない席に、ぽつんと座った。こういうのは、友達と観に来た方が良かったのかな。

「なぁ。緑谷さんまで試合回ると思うか?」

 えっ!?どういうこと?

「たしかに。今回はーー大将戦までいかず、いっても中堅戦くらいな気がする」
(先鋒戦、次鋒戦に主力の三年生。恐らく、ここで一気に攻め勝つつもりだろう。中堅戦に、緑谷さんに負けないくらい実力のある二年生。そして、副将戦に今の主将。大将戦に緑谷さんを置いたのも、この辺りの空手部に、ウチの次期主将を紹介しておきたいからだろうな)

 ーーそうなんだ……?
 分析力のすごい子がいる。片手には、ノート。もう片手にはペンを持っていて、彼はきっとすごい勉強熱心な子なんだと思う。

 そんなことを思っていたらピーーーッと甲高い笛の音が聞こえた。

「始まるぞ」

「頼む、今年こそーー今回こそ!」

 ペガサス学園側の観客席に、熱気が集まった。