無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?


「で、準優勝が緑谷」

「ここまでは、いつも通りだな。どの大会でも、一位二位は決まってるし。鹿島、緑谷が優勝争いをする。出来レースじゃん?」

 ーーなるほど。この花は、結果に応じて付けられてたんだ。銅色の花飾りもあるし、メダルみたい。

「でも、団体戦ーーこれ、どうなるんだろうな? 次、決勝だし」
(どーでも良いけど)

 ……え?
 思わず、トーナメント表を見る他校の生徒の方を見た。

「鹿島有するレグルス学園と緑谷有するペガサス学園。まぁ、いつもみたいに、ペガサス学園が準優勝で全国進出だろ。上位二校が、全国行けるんだし」
(アイツらが強いのも、他の奴らじゃ勝てないのも分かってる。だから、とっとと終わらせて帰りてぇよ)

 ……そうなの?
 トーナメント表を見るフリして、彼らの会話を盗み聞いて試合の内情を知った。

「テキトーに切り上げて、早く帰ろーぜ」

「そうだな。閉会式終わったら俺らは現地解散らしいし、俺の家でゲームでもする?」

「良いな! やるやる!」

 そう言って、彼らは武道場から出て行った。
 個人戦は、もう結果が分かってるから残念だけど団体戦は見れる……!
 さっきの人達は、あんなこと言ってたけどーーせっかくだもん。緑谷くんを応援したい!